鮫日記

男もすなる日記といふものを、スピッツオタクもしてみむとてするなり。

6日目:宇宙とスピッツ―『ガーベラ』

 こんにちは、またお会い出来て嬉しいです。

 初めましての方もこんにちは。初めまして、さめをと申します。

 この『鮫日記』は、日本のロックバンドの「スピッツ」が好きなだけの普通の女子高生の私が、徒然なるままに時々絵も挟みながら駄文を自分のペースで連ねていく…といった趣旨のブログです。「日記」と名乗っているのですが、毎日投稿を目指しているものではなく、書きたいときに書いて、自分のペースで投稿しています。

 周りの人より少しだけ日本語が好きな、スピッツオタクが綴っているだけです。歌詞の考察・解釈を中心にするブログではありません。日本語や日本文学を研究してる身(日本文学・文化の比較研究を行うゼミに所属しています)として、「ここがすごいんだよ!」「ここの表現が好き!」といったものをひたすらに書き綴る…といったものです。書き綴っていく過程で結局考察・解釈が出てしまうところは全然あるとは思いますが、その目的ではないので考察・解釈が読みたい方は別のブログへ飛ばれることをオススメします!

 また、他人の自己語り、妄想、考察、、、あたりが苦手な方はここでブラウザバックすることをオススメします。

 

 

 今回は――『ガーベラ』

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 『ガーベラ』は2001年12月12日に発売された25thシングル『さわって・変わって』、2002年9月11日に発売された10thアルバム『三日月ロック』に収録されています。

 そう、遂に!!!遂に一昨日ですね!!!劇場版『優しいスピッツ a secret session in Obihiro』のパンフレットが届きまして〜!!!わ〜〜〜い!!!…最高でした(泣)。私、草野さんの「感謝です!」って言い方好きで…っへへ……自分も素で使いがちで笑。テッちゃんの言葉はグッと来ました、自分もここにいて良いんだ〜って…自己肯定感上がりますよね。田村くんは…()いっぱい使っててかわいいなと笑。﨑ちゃんはあっさりしてながらもこの4人+クージーと演奏できたのが本当に楽しかったんだなぁって!…それで、やさスピのセトリから選ぼうって思って、大好きな『ガーベラ』にしちゃお!って感じです笑。いやね、どれも大好きだよ!どれも大好きだけど、この曲も本当に大好きなんですよねぇ〜水分量が特に多くてすごく好きです。何かに浸って、泣きたいときに何度助けられたか…笑。

 

 

 『ガーベラ』には、すごく「宇宙」を感じるんですよね、最初の

ガーベラ 汚れたホシの隅 まだ何かを待っていた

アンテナ拡げて あてもない空 扉ふたつ開いて

ここからそうです。たしかに、ガーベラってちょっと…パラボラアンテナっぽいですよね!?あと、美しすぎるアルペジオ…で、神秘的な、幻想的な、そういう宇宙感ある気がするんですが、私は。理系の妹にこの歌詞の宇宙っぽさが好きなんだけど、と言ったら、またお前は草野マサムネ語りかよという顔をされつつも「星なのに隅?球体に隅?端っこ?どういうこと…混乱しそう」と言われました笑。言われてみればたしかに…球体に端は存在しませんね!?思いっきり文系脳の所為で撞着語法チャンス見落とすところだった!!あっぶね〜〜!新しい発見に感謝!(撞着語法乞食モンスター)  そんな、「汚れたホシの隅」は、…"独り"ってことのような気がします。星の王子さまみたいな。「まだ何かを待っていた」ですし…その何かは多分、「君」だと思いますが…。

 

 

 歌詞の好きポイントとは全く関係ないんですけど、私がまだ園児で、純真で、可愛らしさをまだ持っていた頃の話なんですけど、ガーベラに一目惚れして、母にガーベラの種とプランターを買ってもらって、それで育てていた時期があったんですよ。だけど、蕾が出来たあたりで茎が折れちゃって……花咲くのを見ることなく枯れちゃった…っていう、少々苦い思い出がある花なんですよね笑。だから、すごく繊細なイメージを持ってしまっていて。だけど、花言葉「希望」「常に前進」「辛抱強さ」という…初めて花言葉知った時。ちょっと自分が思っていたイメージと違くてびっくりした記憶あります。この花言葉を知ったのは、『ガーベラ』を聴いたあとの話です。『ガーベラ』もなんだか儚くて繊細な印象を持ったので、私の中の「ガーベラ」という花のイメージとすごくマッチしたんですよね。だから、こう…私の中でものすごく印象に残っている曲の一つだと思うんです。大事に育てていたのに、折れてしまって、もう手遅れになってしまった桃色の花びらを咲かせるはずだったあの頃のガーベラとどうしても重ねてしまうんですよね。折れてしまったガーベラを見て、ごめんねと言いながら泣いていたあの頃の純真さと言ったら…なんて清らかな心なんだ笑。

 

 

 あのっ、あの!!!!私は、撞着語法があれほど大好きと!!!!言っているんですが!!!!

ハロー ハロー ハロー

闇の中手が触れた 白い闇の中で

も゛〜〜〜〜っ!!!はぁっ(泣)…「白い闇」………夏目漱石の『こころ』に出てくる「黒い光」でもう、あの、興奮していた身なんですが(特殊すぎ)、「黒い光」で喜んでた人が「白い闇」で喜ばないわけないデショ!?!?あざっす!!!

(※「日本近代文学」の代表と言っても過言ではないですが、とても大好きな作品の一つですので布教しておきます。⇨夏目漱石 こころ )

 このね、「白い闇」を夏目漱石の『こころ』の「黒い光」に準えて考えるならば、ですよ。「黒い光」が出てくるシーンはですね…下の、あのバッッッカ長い遺書部分(言い方)なんですけど、あ、このね、遺書がめちゃくちゃ長くなっちゃたのには理由があるんですよ!知ってました?この、『こころ』って朝日新聞に連載してた所謂「新聞連載小説」なんですけど、次に連載予定だった志賀直哉がですね〜〜連載断ってきた所為でどうにか次の人が見つかるまで持たせなくてはいけない状況になってしまったんですよね。それで…遺書がこんなに長くなってしまったんです。本当ですよ!小説から分かる証拠としては、「中 両親と私」の"十七"で学生の「私」が遺書を受け取る場面があるんですが、「四つ折に畳まれて」いたんですよ。…この遺書部分は400字詰原稿用紙300枚を超えるんですが、それをまとめて四つ折りになんてできるわけねーだろ!っていう……その矛盾から、当初はこんな書くつもりなかったんだなぁってことが分かりますよね。まぁ、そのおかげで夏目漱石の素晴文章がこの世に増えたわけですし、その書かれた部分が増えたおかげで先生とKの関係が分かる部分が増えたので良いんですが…。

 …めちゃくちゃ脱線したな、すみません笑。そのね、下の「先生の遺書」の"四十八"でKが死ぬんですけど(サラッと言うな)、その時の「もう取り返しが付かないという黒い光が、私の未来を貫いて、一瞬間に私の前に横たわる全障害を物凄く照らしました。」です。「黒い光」を簡単に説明するならば、良くない予感が確かに突き刺していく、ハッキリとした兆しのようなイメージであると思います。そう考えると、私は「白い闇」はその逆で、霧(きり)のような靄(もや)のような包み込まれているような、"ぼやけた期待"、みたいなイメージがあるんですよね。この先の未来がどうなるか分からない、みたいな…でも、どうなるか分からないけど、悪くはないんですよね…白いから。やっぱり優しさを感じる、靄のように包み込んでくれるような優しさ。薄っすらとした希望って感じじゃないですか、『ガーベラ』の歌詞って。取り敢えず病んではない。どちらかと言うなら、「死」よりは「生」のイメージの方が強い気がします、私は。先が見えない、手探りで、そんな状況だけど君と巡り会えたよ、みたいな…『めぐりめぐって』の「フリーハンドでめぐりあえた」と状況はちょっと近いですが『ガーベラ』の方がこういう言葉遣いや、﨑ちゃんのドラムは優しく控えめで繊細な美しいテッちゃんのアルペジオが特徴的な曲調から、柔らかく幻想的な感じがありますよね。

 先程の「汚れたホシの隅 まだ何かを待っていた」で、何かを待っていたんですよね。扉が2つ開いて、白い闇の中で手が触れて出会ったわけですよ。だから、ここの「ハロー」は「こんにちは」のハロー(Hello)な気がするんですよね。…それと、「扉 ふたつ開いて」って何の比喩でしょうか…うーん。前回「開扉」の文学的重要性は述べたところなので深くは語らないですが…前回の 5日目:"一人ぼっち"スピッツ―『涙』 - 鮫日記 で述べた通り、文学的な「開扉」という行動の役割は「自身の解放」「禁忌」「"他者(相手)"の欲求」のどれかであるパターンがほとんどです。『ガーベラ』は「"他者(相手)"の欲求」でしょうか。この3つの中だったらこれが一番しっくりきます。でも、「ふたつ」っていうのが引っかかるんですよねぇ…。あ、自分と相手にそれぞれあるとしたら2つになりますね!?そうなると、「心の扉」とか…ちょっと安易ですかね?笑。でも、互いに「相手を欲求」したなら巡り会えるわけですから、筋は割りと通っているの…かも。

 

 そして、先程の「ハロー」は「こんにちは(Hello)」だと言ったんですが、じゃあ、どこの「ハロー」は「こんにちわ」じゃないんだ、というとですね、

ハロー ハロー ハロー

ありのまま 受けとめる 今 君のすべて

ハロー ハロー ハロー

よろしくね 繋がってる 命に甘えて

ハロー ハロー ハロー

ありのまま 受けとめる 今 君のすべて

という…まぁ、その他のところです。

 前回、心理学について少しお話ししたんですけども、私は「ハロー」と聞くと「ハロー効果」が思い浮かんでしまって…あ、「ハロー効果」のこの効果自体と『ガーベラ』に直接的な関係はない(と思う)んですけど、…その「ハロー」は、聖像などの後光のような、光輪のようなものを指すんですね。聖性や栄光の象徴みたいなものなんですけど…仏教的なのだと衆生の煩悩を砕く智慧(ちえ)の光…らしいです。これも先程にも話したんですが、私は『ガーベラ』に幻想的な宇宙っぽさを感じているんですね、柔らかい光のような。「ハロー」って、その"後光"以外にも、調べてみて分かったんですが、「太陽や月の周りに現れる暈(かさ)」、「凸レンズ状の銀河を取り囲んで球状星団が分布する領域」なんて意味もあるっぽいです。ちょっと後者に関してはまっっったく詳しくないので微塵も分からないんですけども。まぁ、取り敢えず、「光」っていうイメージはあながち間違っていないということですね。この、後半の「ありのまま 受けとめる 今 君のすべて」のこの包容力…と、「よろしくね つながってる 命に甘えて」の依存力との対比。「君」は神様みたいな存在なのかなって考えると、ピンクのガーベラの花言葉「崇高美」かなって思うんだけど、前半だけ見ると白のガーベラの花言葉「希望」っぽいなぁって思うんですよね(めちゃくちゃ主観)。

 

 

 

 今回はこのあたりでいかがでしょうか。私の、こんなただのオタク語りで、何か新しい発見なり楽しさなりを見つけて頂けたなら本望です。今回も楽しく草野さんが紡ぐ言葉たちの「ここが大好きポイント」をだらだら綴ったわけですけども…笑

 ついでに日本語の魅力にも気付いて頂けたら最高に嬉しいです!

 

 「この曲、日本語オタク的にどう思っているのか知りたい!」みたいなリクエストや簡単な感想でも長文の感想でも…あればコメントして頂くかお題箱にでも入れて頂ければとっても嬉しいです。

【お題箱】 http://odaibako.net/u/same_____29

 

 今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

 

 それではまたどこかで巡り会えたら。  さめを